さつまいも(べにはるか)について
有名なさつまいもの歴史
さつまいもの品種と聞いて、どんな名前が浮かぶでしょうか?最近では「安納いも」が有名かと思います。安納いもの歴史を調べてみると‥第二次世界大戦後にスマトラ島から持ち帰られたいもが始まりのようです。
安納いもは大昔から存在していたのかと思っていたのですが、今から70年くらい前の話のようです。それから、安納という名称は種子島(たねがしま)の地名に由来しているようです。
また、品種として登録されたのは2000年なので、かなり最近です。安納いもが美味しかったというのもありますが、宣伝も上手かったのだと思います。たどってみると、さつまいもにも様々な歴史があります。
べにはるか
本題の『べにはるか』についてですが、こちらは更に新しい品種で2010年に品種登録がされています。ただ、交配は1996年から始まっていたようです。詳しくは国の機関、農研機構のホームページで公開されています。また、2016年11月12日にはテレビ朝日の『ごはんジャパン』でべにはるかが取り上げられていました。
さつまいもに限らず品種登録までには、長い年月を必要とします。それだけに、選ばれた品種には凄いものが揃っています。例えば、日本人に人気のあるいちごは1県1品種というくらいにたくさんの品種が存在します。
有名な品種には栃木県のとちおとめ、福岡県のあまおうがあります。また、トマトもたくさんの品種があります。一方で、あまり育種の進んでいない作物もあり、稗(ヒエ)は昭和初期の頃に育種されたものが今でも育てられていたりします。品種の多さ=需要の大きさと言えるかもしれません。
九州のさつまいも
さつまいもについてはやはり九州が本場です。『べにはるか』も九州沖縄農業研究センターという組織が育種しています。最近では、大手のスーパーでも『べにはるか』を見かけるようになりましたが、茨城や千葉での栽培はまだ始まって数年程度です。
安納いもは香りにちょっとクセがあるという方もいます。それと比べると、『べにはるか』は非常に食べやすい品種だと思います。
鹿児島に行くとオレンジ色のさつまいもがあるのですが、それはニンジンと同じカロテン(カロチン)という成分を含むためで、独特の香りがあります。名前もそのままにんじんいもと呼ばれています。
左側のさつまいもはカロチンの量が多いためにオレンジ色をしている
さつまいもの食感
『べにはるか』の特徴として食感がトロトロになるという点があります。焼きいも=ホクホク好きの方はイメージと違うようですが、従来の焼きいもの概念を変えるいもだと思います。
自分も初めて食べた時は衝撃を受けました。それだけの強烈なインパクトがあります。これを食べてしまうと、さつまいもを加工したお菓子より、そのまま食べた方が美味しいと思ってしまいます。
さつまいもの食べ方
ただ、さつまいもは収穫直後に食べてもそれ程美味しくありません。トロトロの食感になる『べにはるか』も収穫直後はホクホクで甘みもそれ程ありません。収穫後に低温で熟成させることが大事で、さつまいもの中のでんぷんが糖分に変わって初めて甘くなります。
この低温が問題で、寒すぎると傷んでしまいます。冷蔵庫での保存もダメで、13度程度が理想的とされています。2014年に宮城県の山元町で『べにはるか』を栽培したのですが、寒さのせいでダメにしてしまいました。
さつまいもの美味しくなる時期は最低でも収穫から1か月以上寝かせてからになるので、甘いさつまいもが出回るのは12月頃からとなります。鹿児島県指宿市のある農家さんは、年が明けるまでは出荷しないというこだわりを持っているようです。
大体、7月頃から新しいさつまいもが流通し、前年に収穫されたさつまいもは無くなります。もちろん、倉庫を完備していて通年で熟成したさつまいもを販売している業者さんもいます。
ブランドさつまいも
甘いさつまいもとして、茨城の『紅天使』や大分の『甘太くん』をご存じの方もいるかもしれませんが、実はこれらは商標で、品種はどちらも『べにはるか』です。
そこまで気にしない方も多いと思いますが、商標を取得するなど独自の名前で販売されている農産物もたくさんあります。商標と品種は別物になります。
さつまいも以外の商標の使用例として、当社の特別アドバイザーに就任して頂いている岩佐大輝社長が経営する農業生産法人GRA(宮城県山元町)は、厳選したいちごに『MIGAKIいちご』という名称を使用しています。
さいごに
だいぶ遠回りの話も書きましたが、スーパーなどで何気なく見るさつまいもや農作物にも、多くの裏話があることを知って頂ければと思います。
それから、同じ品種であっても育てている畑や育て方、管理方法で味が全然違ってきます。そこだけは、ぜひ注意して下さい!2016年10月現在、『べにはるかの収穫』で検索される方が増えてきたので、2016年のべにはるかの収穫の記事を書きました。
また、見た目は同じ苗であっても品質は様々です。苗の質が悪いと甘くなかったり形の悪いいもが多く出来るのでこちらも注意が必要です。現在、宮城県山元町で栽培している『べにはるか』は、鹿児島県の信頼できる農家さんから苗を取り寄せています。
(2016年9月3日追記)
(2016年9月23日追記)
(2016年10月4日追記)
(2016年11月2日追記)
(2016年11月13日追記)
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