『聞く力』と『伝える力』
いくら親しいと思っている相手でも、その人の考えを全て理解することは至難の技だと思います。だからと言って、理解しようとする行動を不要であるとは言いませんが、結局のところ人間関係は『聞く力』と『伝える力』のバランスだと思います。
感じたこと
いろいろなご縁があり、事務局を担当している任意団体『山元の未来への種まき会議』の他にも、今はいくつかの団体の打ち合わせに参加させてもらっています。
実際に関わっている打ち合わせであれば、その場での話の雰囲気(本気の話なのか、冗談交じりなのか)も、具体的な進捗状況も肌感覚として理解できます。ただ、参加できない時には議事録を見ても感覚がつかめなくて苦労する時があります。
やはり、自分の中で感じることがスタートなのだと思います。もちろん、多忙な人は全ての打ち合わせに出ることは難しいので、どうすれば話し合いの内容を理解し、それをふまえて前進出来るかを考えてみたいと思います。
聞く力
ここで大切なのが、最初に書いた『聞く力』だと思います。より具体的に書くと『質問力』となります。議事録を読めば大体の内容はつかむことが出来ます。しかし、記録するのは人間なので言葉の選択や記述の仕方で印象は大きく変わってきます。
そのような時に役立つのが『質問力』です。議事録を記入した人にいくつか尋ねるとだいぶ状況が分かってきます。自分の場合、次のようなことを意識して質問するようにしています。
・主語(誰が)の欠けている部分の主語を尋ねる
・数字、日付を再度確認する
この2点です。誰が何を言っているのか、そこに関わる数字(経費、数量など)と日付(いつまで)ということが分かればかなりの部分を理解することができます。議論をしていくうちに、議論をすること自体が目的となってしまい、本来決めるべきことが抜けてしまうことが多々あるので、数字を入れることで進捗状況を客観的に把握することができるようになります。
伝える力
次に、聞いた情報を総合した上でどうまとめ、周囲に伝えるかということが大事になってきます。この時に一番注意が必要なのは、手元にある情報が客観的なものであるかどうかという点です。仮に、特定の人からの意見だけが手元にある場合、いくらその人との付き合いが長い場合でも冒頭に書いたように『人の考えは全て理解出来ない』ことを思い出す必要があります。
つまり、人からの情報はその人というフィルターを通しているために、生の情報と変質している場合が出てきます。もちろん、『伝える力』の優秀な人であれば生の情報をさらに整理して伝えられるのですが、そのような人はあまり多くありません。
多かれ少なかれ情報の中にクセが混ざっていると考えた方がよいと思います。クセの多い情報からクセを取り除くためにも、情報源を増やして多面的に考える必要があります。そうすると、同じ議題であっても全く異なる見方が出てくる場合があります。同時に、情報源となる人のクセも常日頃から見極めておく必要があります。
聞く力と伝える力のバランス
これはなかなか難しい問題です。一方的に話を聞くだけなのは楽なのですが、それでは一般聴衆となってしまいます。人の話を聞きながら、それを要約して伝えるというのが理想ですが、一方的に話しをすることに夢中になり、聞くことがおろそかになったりします。
自分の体験では、聞く方を優先しています。まずは、相手の人に語ってもらった上で自分の思考を整理するようにしています。この辺のバランスについては多くの本も出ていますが、やはり経験を積むことが一番だと思います。
対峙している人が話をしたがっているのか、聞きたがっているのかを見定めた上で議論を始めていけば大きな齟齬は生じないと思います。最低限の段取り、日付が伝われば十分という割り切りも大事だと思います。
そして、自分の伝えたい内容の100%を伝える力を磨くよりも、最低限の50%を伝える工夫に集中する方がより現実的だと思います。