経験と感性のバランス
長年経験をしたからといって、全てのことに対応できる訳ではありません。また、感性や感覚だけで突き進めるものでもないのですが、色々なことをやろうと思うと「経験」と「感性」は非常に重要な要素になってきます。
今、個人事業主としてこれまでの経験を生かしつつ、新たに勉強していることもあります。様々な人に話を聞くことが一番参考になるのですが、どういう形で取り入れていくのが良いのか悩む時があります。
バランス力
経験というのは、専門と言い換えることができるかもしれません。職人の世界では長年の経験が勘として蓄積されており、マニュアルだけではどうしようもない領域も対処できるようになっています。
例えば、研究分野も経験が非常に大切で、本には載っていないちょっとしたコツがあります。研究に関わっていた時には雑草を育てていたのですが、雑草によって水や肥料の要求量が異なります。
このため、多くの水を必要とする雑草には穴の開いていない植木鉢を使用して水を溜めるようにしたり、水はけのよい土を好む雑草には乾燥しやすい砂を使用したりしました。
経験の活かし方
こうして考えると、世の中は無数の経験に支えられていると言えます。自分の分からない分野を知る際に入門書から入るのですが、あくまでも大枠しか書いてないので細部は経験者から学ぶしかありません。
一方で、経験が悪い方に作用する場合があります。今まではこうだったという固定観念です。周囲の変化についていけなくなる原因になると非常に厄介です。
専門家は、今までの知識と経験内での専門家という意味であって、明日も専門家であるかは分かりません。こうして考えると、人が一生で得られる経験というのは案外もろいものかもしれません。
感性を加える
それでも、我々は経験に様々な要素を足すことで創造を繰り返してきました。様々な要素の中でも、特に大切な要素として感性を挙げたいと思います。
感性は非常に漠然とした要素です。経験は数値で表すことができますが、感性は数値では表せません。例えば、陶芸歴30年と書けば長い経験があると通じますが、物凄く重くて使いにくい器を作るか、人の手になじむ器を作るかは感性の領域です。
感性は、生れついた物の見方もあるとは思いますが、周囲を見て考えることで磨かれる要素だと思います。また、感性は料理の隠し味のような要素かもしれません。
経験と感性
両方を併せ持つというのは、なかなか難しいことだと思いますが、経験と感性のバランスが取れた生き方はできると思います。感性を駆使して、これまでの経験や歴史から学べば、新しいことを生み出すことができるはずです。
もちろん、一行の言葉で書く程に易しいことではないのですが、経験を積みながら感性を磨くことは大事なことだと思います。
経験はともかく、感性を磨く具体的な方法になるのですが、個人的に実践していることとして、
・さまざまな分野の本を読む
・人の話を聞く
・外に出る
・モノを飽きるまでいじる
以上のことを意識しています。「モノを飽きるまでいじる」というのは、モノをパソコン、陶器、文房具などに置き換えてもらうと分かりやすいと思います。ひたすら、突き詰めるという意味です。
感性は、外からの刺激を自分の中で消化し続けて、少しずつ体内に蓄積していくものだと思っています。言葉にしにくいことを書いてきましたが、普段の生活の中で「面白い」と思える物事の中身を良く観察することをオススメします。その中に、感性を磨く素材がきっと見つかると思います。