雑草の話5(逮捕される雑草)
雑草を栽培して逮捕されたと書くと、大麻やケシの栽培と思われがちですが、実は普通に街中にも生えている雑草で逮捕される場合があります。
これに関わる法律の名称は‥
特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律
と言います。恐らく、大半の方には縁の無い法律だと思います。そこで、雑草の話の前にこの法律で規制対象となっている生物について挙げてみたいと思います。
左・ブルーギル,右・オオクチバス
左・カミツキガメ,右・アライグマ
報道でも取り上げられることが多い生物です。オオクチバスは俗に言うブラックバスのことで、釣りの対象となっています。思えば、中学校の頃、宮城でもブラックバスが釣れるということで近所の釣具店で道具を買い、ブラックバスを釣りに行ったことがありました。
もう20年近く前のことですが、当時はまだブラックバスを釣るのは珍しかったような記憶があります。今では、レジャーの一つとしてのバス釣りが定着しています。ちなみに、釣り上げたブラックバスをその場で放す(キャッチアンドリリース)のであれば、規制対象にはならないようです。
お笑いコンビの「どぶろっく」の1人が無許可飼育で書類送検されたことがありました。
これも、「特定外来生物による生態系に係る被害の防止に関する法律」によるものです。さて、雑草の話に戻りますが、雑草にもこの法律で罰則の対象となっているものがいくつかあります。例えば、
左・オオキンケイギク,右・アレチウリ
この2種の他にも規制されている雑草がありますが、オオキンケイギクは道端、アレチウリか河川敷で良く見かける雑草です。
この雑草を、環境省の許可なく
栽培する
野外に放つ
ことをした場合、
懲役や罰金を課せられることになります。内容によって変わりますが、
【個人の場合】懲役3年以下、もしくは300万円以下の罰金
【法人の場合】1億円以下の罰金
と、非常に重い罰則となります。以前、研究室の学生にこれらの雑草の鉢植えを作って宇都宮の警察署に自首することを勧めたことがあります(もちろん、冗談として)。果たして、持ち込まれた警察署ではこの法律のことをすぐ分かるでしょうか?もしかしたら、業務妨害として追い返されるかもしれません。
ただ、法律は法律なので違反すれば罰則を科されます。雑草について逮捕された事例はまだ聞いたことはありませんが、動物などの場合は、先ほど紹介したように実際に書類送検されているので注意が必要です。
それにしても、身近な雑草で懲役や罰金の支払いになるということはちょっと怖い話でもあります。それと、特定外来生物として規制されている動植物は人間を介して入ってきている場合がほとんどで、現代のように世界との交流が当たり前の時代を反映しているとも言えます。こうなってしまうと、何が外来で何が在来か‥そういう定義も考え直す必要があるかもしれません。
【引用先】
動植物の写真‥外来生物写真集より
スクリーンショット‥外来生物法の概要より
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