宮城県山元町の菅野さんの畑
趣味と勉強を兼ねて各地の農家さん巡りをしているのですが、観光地を巡るよりも面白いこと、勉強になることが非常に多いです。団体では無理としても、少人数であれば農家さん巡りツアーが成り立つような気がします。こういう視点は、案外、外国人観光客に受け入れられやすいかもしれません。
日本で生活をしていると、田んぼも畑もありふれた光景をしています。でも、海外から来た人には農村風景が非常にキレイに映るようです。それ以外にも、農産物の美味しさを体験してもらうためには絶好の機会かもしれません。
この前、あるお店に来ていた外国の方(タイ人)が日本できゅうりを食べてびっくりしたという話を聞きました。どうも、向こうのきゅうりがドブ臭いらしく、生できゅうりを食べることは論外だったようです。「食」は言葉が通じなくても理解できる分野だと思います。
体験をしてもらえる場として、農地を活用できればと思っています。
前置きが長くなりましたが、宮城県山元町にある菅野さんご夫妻の畑について書いてみようと思います。こちらの畑は今でこそ立派なビニール温室が建っていますが、2011年3月11日の東日本大震災では津波が浸水し、畑はがれきだらけになり、農機具が流出するなど甚大な被害を受けました。
行政によるがれきの片付けを待っていてはいつになるか分からないということで、がれき拾いから畑作りが始まりました。初めて菅野さんの畑にお伺いしたのは2013年の5月でしたが、その頃にはきれいに管理された畑が広がっていました。
(2015年6月29日の畑の様子)
津波で何も無くなってしまった山元町の沿岸部で何か農産物を作りたいというこちらの希望に応えて、栽培の面で色々とお世話になっています。栽培の履歴は次のようになります。
それにしても、畑を見て歩くと面白いことがたくさん転がっています。普段、見ることの無い野菜の花を見たり、一口サイズのきゅうりを食べることもできます。
(左・ムラサキマメの花,右・ナスの花)
(左・きゅうりの花,右・変形したにんじん)
畑で見る野菜の花は原色で鮮やかな色をしていました。そして、畑に転がっていた変形したにんじんは一言でいえば「規格外品」です。でも、たこんじんという名前でも付けて売ったら面白いかもしれません。こういうものは、直接畑に行くからこそ、出会えます。
(左・成長途中のきゅうり,右・とまとの花)
この畑に、料理人が訪れたら、小さなきゅうりや野菜の花がすごい料理に化けるかもしれない、外国人が訪れたら日本の畑を写真に撮って帰国後に広めるかもしれない‥そんなことを考えています。派手さは無くても、経験のある農家さんの畑は凄いことがたくさん蓄積されています。
菅野さんは、畑から収穫した野菜を使った「京子の万能だれ」や「京子の青南蛮みそ」という加工品も作っています。ちなみに、京子というのは菅野さんの名前です。2015年2月のイベントでは宮城県知事にも購入して頂きました。また、ラベルのデザインは東北生活文化大学の学生さん達のアイデアです。
畑を通し、商品が生まれ、人と人との繋がりが生まれる‥それが楽しくて、農家さん巡りを続けています。