宮城県山元町の無房
宮城県山元町には知る人ぞ知る木工の「無房(むぼう)」があります。実は、初めて訪れてからまだ1年くらいしか経っていませんが、今では宮城に行く度に立ち寄っています。
工房のギャラリーには岩手県大船渡市出身の新沼正明さんの作った器がたくさん並んでいます。一人の作家さんが作っているとは思えないほど、多種多様なものがあります。
左・木のブレスレット,右・木のきのこ
木のブレスレットは、黒壇、柿、ケヤキ、ブビンガなど様々な木で出来ています。色の違いは着色している訳では無く、木そのものの色です。また、木のきのこという面白いものもたくさん並んでいます。
左・エンジュの小鉢,右・丸皿など
エンジュの木で作られた小鉢はどれも少しずつ形が異なっています。これも、新沼さんの特徴で削る木の形を出来るだけそのままに器にしています。
全て一品物です。
ゆがんだ形の器があると思えば、端正な丸皿もあります。ちなみに、先ほど紹介したエンジュの木には新沼さんが作った解説が付いてきます。一部を紹介すると、
魔除け、安産、長寿を祝う幸せの木として古くから大切にされてきました。「難産の時、エンジュの枝を握らせると苦しまずに赤ちゃんを産める」と言い伝えられています。
このような理由もあって、エンジュの器は非常に人気があるそうです。無房では、エンジュ以外にも30種類近くの木を使用しています。このため、お客さんが木の名前を忘れないように、購入時に木の名前を入れた紙を同封してくれます。さらに、生涯メンテナンス付きです。他にも、写真を掲載します。
左・カップ,右・スプーンや箸
左・柿渋を塗った鉢,右・丸皿やぐい呑みなど
本当に様々な器が所狭しと並んでいます。
左・山元町のりんごの木で作ったりんご,右・エンジュの木で作ったりんごの小物入れ
新沼さんの定番のりんごシリーズもあります。りんごの木は木工にはほとんど使用されないようなのですが、このキーホルダーには山元町の樹齢60年のりんごの木を使用しています。
最近は、栽培方法が変わったこともあり、そこまで樹齢を重ねた木は少ないために貴重な木材になっているそうです。エンジュの小物入れは、現在、薬入れに使用しています。その他にも‥
プレゼントでりんご付きの表札を作って頂きました。無房ではオーダーも受け付けていて、木のボタンなども作製しているのですが‥注文の内容によっては忘れた頃に出来あがったりするそうで、その辺も楽しいところかもしれません。また、犬の家も新沼さん作だそうです。何となく詫びた佇まいがあったので、思わず写真に残しました。
山元町の山に抱かれた無房を訪れると、いつも時間が足らなくなってしまいます。面白いもので、町の中よりも町の外から訪れる人が多いそうです。灯台下暗しということかもしれません。
新沼さんは震災後、被災した方が持ち込んだ庭木で器や仏具などを作り、無償で贈ったそうです。そんな無房には色々なお客さんが集まります。そして、出会いの場にもなっています。
“宮城県山元町の無房” に対して3件のコメントがあります。