『雑草』に興味のある方が世の中にどの程度居るのか分かりませんが、このサイトを訪れる方の中に、雑草の育て方でたどり着く方が多いので、改めて詳しく書いてみようと思います。

まずは、雑草の育て方①から読んでみて下さい。

余談

本題の前に、なぜ『雑草』のことを書いているかということを少しばかりお話したいと思います。自己紹介のページにも書いてあるのですが、学生時代を含めて宇都宮大学で約15年間雑草の研究をしてきました。

自己紹介雑草は日本中に生えているにも関わらず、大学で研究しているところは非常に限られています。雑草の研究者を対象とした日本雑草学会という組織があるのですが、そこに参加していた大学は、雑草が専門というよりは植物学や環境学に近い研究室が多かった印象です。

宇都宮大学は雑草に関する研究が盛んで、いろいろと貴重な体験をすることができました。ただ、全般的に日本の雑草研究はそれほど盛り上がっていない感じがします。毎年、たくさんの雑草が問題となっているにも関わらず、なぜ盛り上がらないのかというと、恐らくですが除草剤の存在が大きいと思います。

除草剤があれば、たいていの雑草問題は解決することが出来ます。除草剤メーカーは好景気も無い代わりに不景気も無いといわれるくらいに安定しています。それだけに、あえて新しい研究に向き合う必要が無いのかもしれません。

個人の印象なのでどこまで当たっているかは分かりませんが、緊急の課題が少ない分野はあまり注目されない感じがします。震災後の状況を思い起こせばある程度伝わるかと思います。当時は、放射能というタイトルが付いていれば何にでも予算が付くような状況でした。

雑草を育てる!

余談が長くなってしまいました。ここから、雑草の育て方を書いていきます。雑草の育て方には大きく2つの方法があります。

①雑草の種子を採取して播種(はしゅ)する。

②雑草の苗を野外から採取して植えつける。

この辺は野菜や園芸植物と全く同じです。簡単なのは、野外から苗を探してくる方法ですが、そこそこの量を栽培する場合は①の種子による増やし方の方が向いています。

種子から育てる

雑草の種子は当然のことながら野外で採取することになります。大学の頃は休耕田や空き地などに雑草の種子集めに行っていました。今でも雑草の種子を見るとつい集めてしまいたくなります。

雑草の種子雑草の種子を集める際には、まず雑草の種類を判別することが第1段階です。そこを間違うと色々な雑草の種子が混ざってしまいます。次に、時期を逃さないことも大切です。

雑草の種子は作物と違って熟すと落下しやすくなるので、落下する前に採取する必要があります。そのためにも、事前に目的の雑草の生育地を把握しておき、同時に熟し具合を確認しておきます。これは、結構面倒な作業です。

しかも、さあ採種という時に刈られていたということも多々あります。雑草を残しておいて欲しいとは言いにくいことなので、土地の所有者が分かっている場合は早めに伝えておくことも大切です。大学の頃はあらかじめロープを張っておきました。

種子を集めたら

結構な手間と苦労を経てようやく雑草の種子が入手出来ます。しかし、この種子をそのまま土にまいても上手く発芽しません。また、一手間が必要となります。

まず、採種した種子はプラスチック容器や新聞紙の上などに広げて陰干しします。同時に、他の種子が混ざっていないかを確認したり、種子と一緒に回収された小動物を取り除きます(大体は自然に居なくなります)。

次に、土の下に種子を埋めます。これは、休眠といって動物で言うところの冬眠状態にある種子を目覚めさせる(発芽させる)ために必要な作業です。種子が土の中で水を吸ったり、温度変化を受けることで発芽する条件が整います。

スベリヒユこの際、種子を直接埋めると回収できなくなるので、少量であればメッシュのお茶袋、量がある時はストッキングを使用します。ストッキングを適当な大きさに切り、種子を入れて切り口をヒモでしばります。大学の頃もこの手法を用いていました。

研究予算でストッキングを買うという分からない人から見れば、かなり怪しい状態でしたが、研究室の棚にはストッキングが常備されていました。

土に埋める深さですが、大体50センチは掘る必要があります。あまり浅いと土の中で種子が発芽してしまい、もやしのようになってしまうことがあります。もやしになるかどうかは個々の雑草によって異なるのですが、深く掘っておく方が良いと思います。

埋める時期は12月頃から2月頃までとなります。ここも明確に何ヶ月という基準はありませんが、雑草を育てるのに適した季節が春~秋なので必然的に冬のうちに種子を土に埋めておくことになります。

ようやく播種(はしゅ)

土から掘り出した種子は、再びプラスチック容器や新聞紙の上で乾かします。ここでしっかり乾かしておかないとカビの原因になります。場合によっては、ふるいで種子に付着した土を取り除く作業が入ります。

これで、ようやく発芽可能な雑草の種子が手に入ります。雑草の種子は常温では発芽率が低下してしまうので、冷蔵庫に保存しておきます。そうすれば、数年間は発芽率の高いままに保存することが可能となります。

次に、雑草の種子を土にまくこととなるのですが、雑草の上に被せる土の量が問題となってきます。種子によっては薄く被せないと発芽がばらついたりします。ここばかりは、実際に試してみるとしか言いようがありません。

アメリカセンダングサ経験の領域となりますが、小さな種子は少なめの土を被せ、大きい種子には多めに土を被せておけば大体問題は起きません。あとは、適度に水を与えること、土の選択に気をつけることも大切です。

こちらも、経験の領域となりますが、畑に生える雑草であれば、栄養分の多い黒土を使用すればだいたい育ちます。基本的にはその雑草が生えている環境を再現するということが大切になります。

まとめ

雑草を種子から育てようと思うと、先述した作業が必要となります。どこかを手抜きしてしまうと上手くいきません。手間はかかりますが、研究の対象としては非常にやりがいがあると思います。

雑草もアートになったり、表現方法はまだまだ可能性があると思います。そんな面白いことを考えている方と一緒に何かを創っていけたらと思っているところです。興味のある方は気軽にお問い合わせ下さい

雑草苗からの増やし方については、また別記事で紹介したいと思います。

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