前回の投稿の続きとなります。

やねだん

鹿児島県鹿屋市の柳谷地区を「やねだん」と呼ぶそうです。今、流行っている地方創生の先進地区ということで注目されているようです。個人的に知ったのは、NHKの「東北発未来塾」に自治会長の豊重哲郎氏が講師として出演していたのがきっかけでした。

やねだんについては、ホームページがあるので詳細な説明は避けますが、大まかに書くと以下のようになります。

・自主財源を稼ぐ‥さつまいも、トウガラシの栽培などで収入を得る

・行政に頼らない「むら」おこし

自分で訪れる

個人的に、自主財源を稼ぐという考えに興味があり、実際に訪れることにしました。どんな良い(悪い)情報であっても、伝える人によって感じ方が異なるので全く別物として伝わっていることがあるので、必ず現場を見るように意識しています。

その上で、自分の中でじっくりと考え、感じたことであれば自信を持って語ることができます。伝聞では、虚像に騙されてしまい、せっかくの良いこと(悪いことも)を見落としてしまいます。

そのような思いで訪れたやねだんでしたが‥色々と思うことがありました。

シュール

初日の印象を携帯のメモに残したのですが、そのメモには

『やねだんはシュールである。風呂に行って道に迷う。街灯が無い。目印も無い。星がキレイ。なぜかNHKしか映らない(宿泊したところ)』

と書いてあります。実は宿泊施設は素泊まりのみで、お風呂と食事は近所の温泉ということになっていました。そのような訳で、温泉まで行ったのですが帰りが暗くなり、道に迷ってしまいました。その際、温泉の食堂で食べた日替わりの焼きサバ定食はまるで病院の食事のようで、この辺から違和感を抱き始めました。

さくら温泉の夕食

また、宿泊した空き家は小泉進次郎氏も宿泊したようですが、アンテナの工事の際に断線したとかでNHKしか映らないと言われました。

やねだん宿泊地
結局、夜中は傍らにあった漫画を読んで過ごしました。

やねだんでの漫画

やねだん2日目

不完全燃焼のまま過ごした翌日は雨でした。この日は自治会の代表をしている豊重氏が宿泊していた場所に来て頂き、いくつかの施設を案内して頂きました。また、九州の団体の視察があるということで、視察の方々に混ざって豊重氏のお話を聞かせて頂きました。

牛小屋ギャラリー

牛小屋を改装したギャラリー

空き店舗活用

空き店舗を活用したアトリエ兼ギャラリー

活動写真

過去の活動写真

映像準備

映像を準備する豊重氏

焼酎と豊重氏

やねだん焼酎と豊重氏

学ぶべきことと学ぶべきではないこと

さて、1日目の不完全燃焼が2日目の講演で解消できれば良かったのですが、ここの地区から学ぶべき良い面と、学んではいけない面がくっきりと見えてきました。

まず、自主財源を作るという発想は実にすばらしいことだと思います。また、その成功の結果としてやねだんという小さな地域に年間に数千人も視察に訪れている点は注目すべきことだと思います。

やねだん看板

一方で、完全に視察ビジネス化しており、過去の成功例がそのまま視察客向けのネタとなってしまっているように映りました。実際、やねだんと銘打った焼酎はやねだん以外の地域で生産・加工されており、現在、やねだんではさつまいもを栽培していないそうです。つい、過去にやねだんでさつまいもを栽培して自主財源とした話と繋げがちですが、別物と考えた方が良いようです。

その他にも、豊重氏個人の収入は講演などで増えているようでしたが、地域全体への波及効果については疑問が残りました。NPOや法人化せずに自治会というくくりで進行している点についても、お金の流れの不透明さを感じました。まさに、「一将功なりて万骨枯る」パターンのような気がします。

豊重氏肖像

さらに、宿泊施設の所有者から聖教新聞の勧誘を受けるなど、疑問に思わずにはいられない点が多々ありました。信仰の自由があるとは言え、わざわざ地域を訪れた人にたいして勧誘するという感覚にびっくりしました。

現実を直視する

成功例というのは非常に怖いものだと思います。織田信長の偉大だったことは桶狭間を生涯、二度と繰り返さなかったことだと思います。奇襲は何度も成功しません。一方で、旧日本軍は過去の成功例という型から抜け出せないままに消滅しました。

地域創生という成功例もまた、同様の危険性を含んでいるように思えます。同時に、その周囲の人々も成功例を視察すればどうにかなるという発想を捨てなければいけないと思います。もちろん、現場をしっかりと見ることは大切なのですが、何でも肯定してしまっては自分自身の頭を使わなくなります。

成功例を右から左に移すだけでどうにかなるようならば、誰も苦労はしません。外部の事例は参考とするにしても、結局は自身の頭で考えて行動しなければ何にもなりません。セミナーなどに依存する気質もその辺に似ているかもしれません。

見聞しただけで満足するのではなく、そこで何を感じてどう考えるか、そして行動に移せるかというのが最も重要なことだと思います。そういうこともあり、やねだんを訪れてよかったと思っています。『決して奢らず、過去の成功例に縛られず、絶えず変化を求めていく』ことが地方創生の基礎中の基礎になるのではないでしょうか。


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