最近は、農産物という言葉の前に「安心、安全」とか「顔が見える」という表現が付くようになりました。一方で、スーパーで見かける野菜の大半は、安全性は担保されていても顔が見えていないのが現状です。

農作物にとって、どのような出口があるのかを考えてみました。

農作物の行方

スーパーからもっと上流にさかのぼって考えてみたいと思います。農地で生産された農産物はどういう経路で我々消費者の口に入るのかということになると、市場経由、直売所(産直)、直接取引で大半が流通していると思われます。

市場からの流通

こちらが、最も一般的な流通手段であると思います。沖縄・九州の農作物も北海道からも集まってきます。魚介の場合は、築地に集約してから地方に運ばれる場合もあります。

東京都中央卸売市場のホームページに「知ってますか 市場のしくみ」と題して詳しく書かれています。ここでは、要約して紹介したいと思います。

市場の役割と機能

中央卸売市場の機能として、3つ紹介されています。それは、

安定的な生鮮食料品などの提供

確実な販路の提供

取引の場の提供

とされています。どれも非常に大切なことで、市場は、安定して食料が流通するための仕組みであることがよく分かります。

直売所(産直)からの流通

一方で、産直が増えている理由を考える必要があると思います。以前、産直に関して調べたことがありました。詳細は省きますが、平成21年度の資料では産直の数は1万6816ヶ所、年間総販売金額は8767億円となっています。

最近では、道の駅には必ずと言って良いほど産直が付属しているので、産直は人気のある施設なのだと思います。では、市場があるのになぜ産直が増えるのでしょうか?いくつかの理由が考えられます。

直売所まず、小面積で多品目を栽培している場合、出荷単位に必要な物量を確保できないことが考えられます。市場に出荷することを優先すれば、単一の作物を大規模に生産する方が効率的です。

また、市場に出荷するためには規格を守る必要があります。農作物はいくら丁寧に生産しても生き物なので変形したり、熟し過ぎたりなど一定量の規格外品が発生します。

このため、規格外品の流通先として産直が活用されています。

農産物と価格の問題

さらに、産直であれば生産者が売価を設定できるということが大きいと思います。個人的には、ここの要素が産直増加の非常に大きな要因だと思っています。

農産物は基本的には相場で価格が変動し、家電製品のように希望小売価格を設定することができません。

お札本来、仕入れ値や人件費などの原価に利益を加えた額が売価になるはずです。しかし、農産物については相場によっては原価・経費の回収すら難しい場合もあります。

農産物の収穫は年に1度、天候に大きく影響を受ける上に相場にまで左右されるという状況がこのままで良いかどうかを考える時期に来ていると思います。

直接取引

一部の飲食店は農家から直接農産物を仕入れていたり、栽培した分を全て引き取る契約栽培も増えているようです。定期的にお話お聞かせて頂いている宮城の野菜卸の会社でも、生産者から直接仕入れており、仕入れ先の確保が大事になっているということでした。

契約栽培の場合、生産した農産物が決められた価格で出荷できるため、農家は収入の計算が立てられます。仕入れる側も安定して入荷するために、相場の影響を受けなくなります。

市場の流通は一か所に集約するという非常に効率の良い仕組みなのですが、流通・宅配の発達した昨今では輸送費さえ負担すれば、個人でも生産者との直接取引は可能となっています。

これからの流通

農産物に限った話ではありませんが、時代とともに変わっていくことになるのではないでしょうか。流通が整備されておらず食料の安定確保が急務だった時代、市場という仕組みは非常によく機能したと思います。

流通を担う側(農協)にとっては、一定額の手数料収入が必ず入るので損をしない仕組みとも言えます。一方で、生産者側から見ると出荷した商品は必ず引き取ってもらえるという利点があるものの、価格の保証はありません。全ては市場任せです。

築地市場さらに、味がいくら良いと言っても評価の対象にはならず(果物の糖度での選別などは除く)、形の整った農作物を大量に出荷する方が儲かるようになっています。

生産者番号が残っている場合もありますが、基本的には農協や地域の名前で店頭に並ぶことになります。誰が生産したかはあまり重要視されていません。

これらの問題を解消する手段で生まれたのが直売所のはずですが、産直と言いながら市場で仕入れたものが並んでいる産直風スーパーも増えています。また、市場出荷の場合にはある程度の選別があるのですが、産直の場合は個々の農家の判断次第なので、質の悪い農産物が並ぶこともあります。

そして、直接販売ですが、こちらも農家の配送作業の手間の問題や、必要な時に必要な量だけ欲しいという飲食店の都合もあり、まだまだ改良の余地がありそうです。個人宅への農産物の宅配事業もありますが、セットは量が多すぎるとか中身が選べないなどの不満を聞いたことがあります。

まとめ

こうして書くと問題山積みで、あまり良い未来は無いという印象を抱いてしまいそうですが、個人的にはこれから新しい流通が出てくると考えています。

今は非常に流通の発達した時代なので、優秀な配送システムを活用することがカギになると思います。まだ模索中ですが、まずは、これまでお世話になっている農家さんと流通の実験をしたいと考えているところです。


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