あるサイトで「無農薬・無肥料の自然栽培を広めたい」という主張を見ました。自然栽培という言葉にも違和感を覚えたのですが、無農薬・無肥料という手法にも疑問を抱いています。

もちろん、そういう主義で作物を育てることは全然構いません。ただ、当事者が意図的もしくは無意識のうちに嘘と根拠の無いイメージを広めることで多くの方が騙されるのは良くないので、問題点を書いてみたいと思います。

無農薬・無肥料栽培

まずは歴史から見ていきたいと思います。最近ではほとんど見ることが無くなりましたが、焼畑という手法がありました。野焼をして雑草や木の焼けた灰を土地すき込み、そこで作物を育てる手法です。

野菜畑植物の灰にはカリウムやカルシウムなどの無機養分が含まれるため、作物の肥料として機能します。また、植物の灰に含まれる化学物質が種子の発芽と幼植物の生長を促進するという論文が紹介されています

同時に、野焼には害虫病原菌の密度を低下させる効果もあることから、昔の人々も肥料という概念や、虫や病気の防除をするという意識はしっかりと持っていたという点は強調しておきたいと思います。

肥料がダメな理由?

正直なところ、何故なのかは主張する方々に聞いてみないと分かりません。古来から家畜の糞尿や人糞などは肥料として農地に還元されていました。現在は衛生上の観点から人糞を使用することはありませんが、肥料は作物の生産にとっ不可欠です。

人が食糧や水を求めるのと同様に、作物も成長するためには栄養が必要だからです。もちろん、肥料は有料なので使わずに作物が育つのであれば最高であると思います。

ただ、無肥料が普及しない理由は明確にする必要があります。良い技術は広めようと思わなくても広まるものです。

農薬がダメな理由?

こちらの主張は何となく理解できる気がします。化学物質を使用することに対するアレルギーだと思いますが、天然の素材にも多種多様な化学物質が含まれています。

天然物由来だから安全‥ということにはなりません。よくアトピーと絡めて議論されることもありますが、農薬の毒性に対する規制は年々厳しくなっています。危険性ということであれば、昔の方が遥かにあった訳です。

試験管それにも関わらず、農薬の使用がアトピーの原因というのは無理があると思います。現代は、農薬に限らず食品添加物や医薬品を含めて多くの化学物質に囲まれています。

そのような状況下で、農薬のみを元凶のように批判することは少し安易ではないでしょうか?

子供には安全な物を食べさせたい

誰しもがそう思っていることだと思います。無農薬・無肥料栽培を主張する方から見たら現代の大人は安全で無い物を食べて育ってきた人ということになります。

何とも皮肉なことですが、これらの人々は長生きをして、日本は超高齢化社会を迎えようとしています。

農作物のみを改善したとしても、調理の際に大量の塩を使用すると病気の危険性が高まります。また、調味料、飲酒や喫煙、薬の使用、蚊取り線香の使用も考え直さないといけないかもしれません。

農業は自然では無い

極端な例を挙げましたが、視野は広く持つ必要があります。そして、農業は自然の行為という考え方は残念ながら正しくありません。人間が食べる為の行為なので、あくまでも人為的な行為です。そこを知るだけでも、冷静に考えることができると思います。

我々は、自然と共に生きたいという憧れを抱きつつも自然の中では生きていけない存在です。農業もまた同様です。そういう理由から、「自然栽培」という言葉に違和感を抱きました。

主張は正確に

独自の理論や考え方を基に農業を行うことは良いことだと思います。しかし、自身の範囲内で行うのであれば良いのですが、アトピーなどで困っている方々を騙すような主張は止めるべきだと思います。

注意そうしないと、根拠の無いイメージだけが先行することになります。これでは農業が本当にダメになってしまいます。これまでに無いことを挑戦するのであれば、他の人がマネたくなるような立派な技術を作り上げていくべきだと思います。

その結果として、無農薬・無肥料栽培がどんどん普及していくのであれば素晴らしいと思います。一方で、なぜ普及しないのかを冷静に考えることも大切だと思います。


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