東日本大震災、阪神大震災と日本では定期的に大きな天災が発生しています。日本が抱える非常に辛い宿命ですが、今回は震災と雑草について書きたいと思います。

阪神大震災と雑草

阪神大震災の後に、日本雑草学会の講演要旨集に「阪神大震災における可食雑草の利用」と題した報告がありました。ちなみに、講演要旨集とは学会発表の内容を要約したもので、雑草学会の場合はA4サイズで2枚もある(現在はA4で1枚)ので大体の内容を読むことができます。PDF化されていて無料で配布されていますので、興味のある方は読んでみて下さい。

論文のイメージ
この研究は、題名の通り阪神大震災の後で食べられる雑草がどう使われたかと、問題点を調査したものです。著者は生鮮野菜の代用として雑草が活用できないかと考えたようです。結果および考察に進むと、誰も見向きもしなかったと書かれています。そして、原文のまま引用すると

遺憾なことに可食雑草は、阪神大震災において、野菜の短期的な代用品として、あるいは精神的なスパイスとして、全く役に立たなかったのである。

と、書かれています。我々の日頃の雑草との関わりから考えれば当然のことかもしれません。七草粥は雑草を食べる数少ない機会かもしれませんが、普段から食用にしていない雑草を震災時に活用するということには無理があるということだと思います。

東日本大震災と雑草

東日本大震災は大きな揺れだけでなく、津波に放射能の飛散という複合した震災となりました。セシウムと雑草の関係については、雑草の話9(雑草とセシウム)と題して書きました。その他にも、2012年2月10日の朝日新聞に掲載された記事ですが、福島第一原子力発電所で放射能汚染水を流すホースで水漏れが発生した原因として、

イネ科の雑草「チガヤ」がホースに穴を開けたのが原因だと発表した。

と、書かれています。原発というと最先端の科学で作られているというイメージですが、皮肉にもアナログの代表のような雑草が問題となっています。

チガヤチガヤ

また、2012年9月15日に宮城県と福島県の県境の沿岸を歩く機会がありました。津波の浸水した土地でした。震災から1年半、経過していた時でしたが人工物はほとんどなく、土地の大半は雑草で占められていました。

イヌビエ 沿岸の風景

左・一面に広がるイヌビエ,右・宮城県山元町の沿岸

特に、少し湿気があり栄養分の多い土地にはイネ科のイヌビエが大量に発生していました。この当時、作物栽培のために除塩作業が行われていましたが、既に雑草は大量に繁殖していました。その他にも、

ミズオオバコミズオオバコ

地盤が沈下して水はけの悪くなった土地にはミズオオバコという雑草が生育していました。ミズオオバコは絶滅危惧種となっている雑草です。絶滅危惧種というと、人間が保護をしなければいけない程弱いという印象を抱くかもしれませんが、雑草は生育環境が整えば自然に増加していきます。その辺が雑草のたくましい所です。


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