前回の話、「雑草の話2(大学院の研究テーマ)」の続きになります。前回は、大学院での研究テーマまでで終わってしまいました。今回は中身のことを書きたいと思います。

研究テーマは「雑草を用いたカドミウムのファイトレメディエーションに関する研究」です。具体的には、カドミウムを含んだ土壌に雑草を栽培して、土壌をきれいにしようという研究です。ただ、研究はすぐ答えの出ない部分もあって、積み重ねも必要になります。

そこで、基礎的な研究として、次のことを調べてみました。

①雑草はカドミウムにどの程度まで耐えられるか(カドミウム耐性の調査)

雑草に限らず、カドミウムは植物の成長にとって有害であると言われています。例えば、植物の成長に必要な鉄の吸収を阻害して鉄欠乏を引き起こしたり、種子の生産量を減少させたりします。現在、ここまで高濃度のカドミウムを含む土壌は限定的なのですが、雑草の能力を調べる意味でこの調査を行いました。

穴の開いていない植木鉢に、カドミウムを添加した土を入れて雑草の種子をまき、雑草がどのように成長するかという実験でした。穴が開いていると植物に水を与えた時にカドミウムも流れてしまうので、わざわざ穴の無い植木鉢を使用しました。このため、水をやり過ぎるとあふれてしまうために非常に慎重に栽培を行いました。

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この時の栽培風景の写真になります。だいたい、200種近くの雑草を調査しました。雑草といっても、栽培に向いた季節はだいたい3月から10月くらいになります。このため、タイミングを逃さないように準備に時間をかけました。カドミウムの濃度も変えたために、全部合わせると1000鉢以上を使用したと思います。

しかも、栽培が難しい雑草もあったり、実験の精度を高めるために2回栽培したりしたためにこの研究だけで2年近くも費やしました。夏場は水がすぐに蒸発するために、朝早くに灌水する必要があったり、植物に土日は関係無いので植物優先の日々でした。そのような研究だったので時折、夢にうなされることもありました。

アメリカセンダングサ  イヌビエ

左・アメリカセンダングサ,右・イヌビエ

栽培した雑草の一部の写真です。植木鉢ごとにカドミウム濃度が異なっていて、右側に行く程に濃度が高くなっています。このため、左側の写真で示したアメリカセンダングサの草丈が右に行く程小さくなっています。一方で、写真右側のイヌビエですが、こちらはアメリカセンダングサ程の阻害はありませんでした。

コイヌガラシ  ホソバイヌビユ

左・コイヌガラシ,右・ホソバイヌビユ

上の写真の雑草も全て同じ条件で栽培したのですが、コウヌガラシやホソバイヌビユはカドミウム濃度の高い条件(右側の植木鉢)では枯れてしまいました。

以上のように200種近くの雑草を調査した結果、雑草によってカドミウム耐性が大きく異なることが分かりました。大きくまとめると、カドミウムに対する強さは

イネ科に代表される単子葉植物>マメ科やアブラナ科などの双子葉植物

‥と言う結論が導き出されました。この一言のために約2年かかりました。次は、②雑草はカドミウムをどのくらい吸収するか(カドミウム吸収量の調査)について書いてみようと思います。


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